好きなアーティストの楽曲を聴いていて、「このサウンドはどうやって作られているんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。
実は、楽曲の印象を大きく左右するのが「編曲」という工程です。そして、中には作詞作曲だけでなく、編曲までやるアーティストが存在します。
この記事では、編曲とは何か、そして作曲との違いはどこにあるのか、といった基本的な疑問から解説します。
作曲と編曲はどっちが大変なのか、作詞作曲をする人のことを何というか、また、作曲と編曲を同じ人が担当するケースや、あえて編曲しない選択についても掘り下げていきます。
さらに、星野源の編曲における才能や、Mrs. GREEN APPLE(ミセス)の編曲スタイルといった具体例を挙げながら、作詞作曲編曲を一人でこなすアーティストの凄さに迫ります。編曲はいくらぐらいしますか、編曲家の年収はいくらですか、といった経済的な側面にも触れ、あなたの音楽への理解を一層深める内容をお届けします。
- 作編曲の具体的な違いと役割
- 編曲まで手掛けるアーティストの凄さ
- 編曲に関する報酬や年収の目安
- 星野源など実在アーティストの編曲スタイル
編曲までやるアーティストの役割と定義
- そもそも編曲とはどんな作業?
- 知っておきたい編曲と作曲の違い
- 作曲と編曲はどっちが大変なのか
- 作曲と編曲が同じ人であるメリット
- アーティストが編曲しない場合の理由
- 作詞作曲をする人のことを何というか?
そもそも編曲とはどんな作業?
楽曲制作における「編曲(アレンジ)」とは、作曲家が作ったメロディとコード進行という骨格に、肉付けをして楽曲全体を完成させる作業を指します。いわば、楽曲の設計図を元に、実際に家を建てて内装を施す建築家のような役割です。
たとえば、弾き語りで作られたシンプルな曲があったとします。この曲に、どのような楽器を使い、どんなリズムを刻み、どこにイントロや間奏を入れるかなどを考えて、サウンドを豪華に仕上げていくのが編曲の仕事です。編曲家の手腕ひとつで、同じメロディがロックにもなれば、ジャズやオーケストラ調にも変化します。
編曲の具体的な作業内容
- 楽器の選定:ギター、ベース、ドラム、ピアノ、ストリングスなど、楽曲の雰囲気に合わせて使用する楽器を決めます。
- リズムのアレンジ:ドラムパターンやパーカッションを構築し、曲のノリを決定します。
- ハーモニーの構築:コーラスパートや、ピアノ、ギターなどの和音楽器の具体的な演奏フレーズを考えます。
- 楽曲構成の決定:イントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、間奏、アウトロといった楽曲全体の流れを設計します。
このように、編曲はメロディの魅力を最大限に引き出し、リスナーが聴く最終的な楽曲の形を決定づける、非常に重要で専門的な工程なのです。
知っておきたい編曲と作曲の違い
「作曲」と「編曲」は、音楽制作において混同されがちですが、その役割は明確に異なります。簡単に言えば、作曲が「0から1を生み出す」作業であるのに対し、編曲は「1を100に広げる」作業と言えるでしょう。
作曲の主な役割は、楽曲の根幹となる「メロディ(主旋律)」と、それに付随する「コード進行(和音)」を作ることです。多くの場合は鼻歌やピアノ、ギターの弾き語りなどで原型が作られます。この時点では、まだ楽曲はシンプルな状態です。
一方、前述の通り、編曲はそのシンプルな原型を元に、楽曲を豊かに彩るためのあらゆる要素を加えていく作業です。両者の違いをより分かりやすく理解するために、以下の表にまとめました。
| 項目 | 作曲 (Composition) | 編曲 (Arrangement) |
|---|---|---|
| 主な役割 | メロディとコード進行の創作 | サウンド全体の構築と装飾 |
| 担当範囲 | 楽曲の核となる旋律、和音 | イントロ、リズム、楽器選定、ハーモニー、楽曲構成など |
| 例えるなら | 物語のプロット作り、キャラクター設定 | 脚本化、演出、キャスティング、背景美術 |
| 必要なスキル | 独創性、メロディセンス、発想力 | 音楽理論、楽器の知識、サウンドデザイン能力、客観性 |
このように、作曲と編曲は担当する領域がはっきりと分かれています。どちらが欠けても、私たちが普段耳にするような完成された楽曲にはなりません。
作曲と編曲はどっちが大変なのか
「作曲と編曲はどっちが大変ですか?」という疑問は、音楽に興味を持つ多くの方が抱くものです。しかし、これに対する絶対的な答えはなく、「大変さの種類が全く異なる」というのが最も的確な表現でしょう。
作曲は、何もない状態からメロディというアイデアを生み出す産みの苦しみが伴います。インスピレーションが求められるため、「良いメロディが全く思い浮かばない」というスランプに陥ることも少なくありません。この「0→1」の創造性が、作曲の最も大変な部分です。
一方で、編曲は音楽理論や楽器の特性、音響に関する深い知識と技術が求められます。メロディの意図を汲み取り、それを最大限に活かすための最適なサウンドを構築するには、膨大な知識と経験が必要です。こちらは「1→100」にするための論理的思考と技術力が大変さの核となります。
言ってしまえば、作曲家は「発明家」、編曲家は「建築家」や「シェフ」に近いかもしれません。発明家は世にないものを閃く大変さがあり、建築家やシェフは設計図やレシピを元に最高の形に仕上げる技術的な大変さがあります。どちらが上ということはなく、両者は全く異なる専門職なのです。
アーティストによっては作曲の方が得意な人もいれば、編曲作業に喜びを見出す人もいます。どちらの作業も楽曲制作には不可欠であり、それぞれに異なる種類の難しさとやりがいが存在するのです。
作曲と編曲が同じ人であるメリット
アーティストが作詞作曲だけでなく、編曲まで手掛けることには、計り知れないメリットが存在します。作曲者と編曲者が同じである最大の利点は、アーティストの頭の中にある音楽的ビジョンを、一切のブレなく100%の形で音源に反映できることです。
外部の編曲家に依頼する場合、どうしても言葉や楽譜だけでは伝えきれないニュアンスが生じ、作曲者の意図と少し違う仕上がりになる可能性があります。しかし、自身で編曲まで行えば、その心配はありません。
作編曲を一人で行う主なメリット
- 世界観の統一:楽曲のコンセプトやイメージが最初から最後まで一貫し、濃密な世界観を構築できます。
- スピーディーな制作:他者とのイメージ共有やすり合わせの時間が不要なため、制作プロセスが迅速に進みます。
- 完全な自己表現:細部に至るまで自身のこだわりを反映でき、オリジナリティの高い独自のサウンドを生み出せます。
- コストの削減:外部の編曲家に支払う費用がかからないため、制作コストを抑えることができます。
もちろん、編曲まで行うには幅広い音楽知識と技術、そして多大な時間が必要となります。しかし、それを乗り越えてでも、自身の音楽を理想の形でリスナーに届けたいという強い想いを持つアーティストが、このスタイルを選択するのです。
アーティストが編曲しない場合の理由
編曲まで手掛けるアーティストがいる一方で、多くのアーティストは外部の専門家である「編曲家(アレンジャー)」に編曲を依頼します。これには、音楽的、戦略的に見ていくつかの合理的な理由が存在します。
最も大きな理由は「専門性の追求」です。アーティスト自身は作詞や作曲、そして歌唱といった自身の得意分野に集中し、サウンドメイクは専門知識を持つ編曲家に任せることで、楽曲全体のクオリティを最大化しようという考え方です。それぞれのプロフェッショナルが力を合わせることで、一人では到達できない高みを目指せます。
編曲を外部に依頼するその他の理由
客観的な視点の導入:
作曲者自身が編曲も行うと、無意識のうちに自分の得意なパターンや手癖に偏ってしまうことがあります。第三者である編曲家が加わることで、自分では思いつかなかった斬新なアイデアや客観的な視点がもたらされ、楽曲の可能性が大きく広がります。
音楽性の拡張:
異なるジャンルを得意とする編曲家とタッグを組むことで、アーティストは自身の音楽性を意図的に拡張できます。例えば、ロックバンドがエレクトロニックミュージックの編曲家と組むことで、新たなサウンドを生み出す、といった化学反応が期待されます。
時間的・物理的な制約:
編曲は非常に時間と手間のかかる作業です。多忙なアーティストにとって、編曲まで自身で行う時間を確保するのは困難な場合があります。外部に依頼することで、効率的に高品質な楽曲を制作することが可能になります。
このように、編曲をしないという選択は、決してアーティストの能力不足を意味するものではありません。むしろ、自身の音楽をより良くするための戦略的な分業であるケースがほとんどなのです。
作詞作曲をする人のことを何というか?
作詞と作曲の両方を行う人のことは、一般的に「シンガーソングライター」と呼ばれます。これは、歌い手(Singer)でありながら、自ら楽曲も書く人(Songwriter)という意味を組み合わせた和製英語です。
ただし、この呼称はあくまで「歌うこと」を前提としています。そのため、自身では歌わず、他のアーティストに楽曲提供を専門に行う場合は、単に「作詞家」「作曲家」あるいは両方を合わせて「ソングライター」と呼ばれるのが一般的です。
関連する呼称
- 作詞家 (Lyricist):歌詞を専門に書く人。
- 作曲家 (Composer):メロディを専門に作る人。
- ソングライター (Songwriter):作詞と作曲の両方、あるいはどちらかを行い楽曲を創作する人全般を指す言葉。
- トラックメイカー (Track Maker):特にヒップホップやダンスミュージックの分野で、伴奏(トラック)を制作する人を指す呼称。編曲家の役割に近いですが、よりビートやサウンドデザインに特化しています。
もし、作詞・作曲・編曲の全てを一人で行う人を指す特定の言葉を探しているのであれば、明確に定まった呼称は今のところありません。しかし、音楽業界やファンの間では「セルフプロデュース能力が高い」「マルチな才能を持つ」といった形で、その多才さが賞賛されることが多いです。
編曲までやるアーティストが注目される理由
- 作詞作曲編曲を一人でこなす凄さ
- 評価される星野源の編曲の才能
- Mrs. GREEN APPLEの編曲スタイル
- 編曲はいくらぐらいしますか?年収は?
- さらに深く知る編曲までやるアーティスト
作詞作曲編曲を一人でこなす凄さ
作詞、作曲、そして編曲の三つの工程を一人で完結させることは、音楽家として非常に高度な能力を要求される偉業です。このスタイルを貫くアーティストが持つ「凄さ」は、単に「多才である」という言葉だけでは表現しきれません。
その凄さの根源は、幅広いスキルセットを高いレベルで併せ持っている点にあります。
- 作詞に求められる「言葉の力」:物語を紡ぐ構成力、感情を表現する語彙力、メロディに乗せるリズム感。
- 作曲に求められる「閃きの力」:人々の心を掴むメロディを生み出す独創性、音楽的な発想力。
- 編曲に求められる「構築の力」:音楽理論、楽器の知識、音響工学、そして全体のバランスを整える客観的なプロデュース能力。
これらはそれぞれが独立した専門分野であり、一つを極めるだけでも大変な努力が必要です。これら全てを一人でこなすということは、右脳的な感性と左脳的な論理的思考の両方を、極めて高い次元で融合させている証拠と言えるでしょう。
例えるなら、一人で映画の「脚本・監督・撮影・編集」の全てを担当するようなものです。自身の頭の中にある完成予想図を、誰の手も借りずに、寸分の狂いもなく具現化できる。だからこそ、彼らの作品には強烈な作家性と、隅々までこだわり抜かれた濃密な世界観が宿るのです。
リスナーは、その純度100%の表現に触れることで、アーティストの魂そのものを感じ取り、深く魅了されるのです。
評価される星野源の編曲の才能
日本の音楽シーンにおいて、作詞作曲だけでなく編曲まで手掛ける代表的なアーティストとして、星野源の名前は欠かせません。彼の楽曲が高く評価される理由の一つに、その卓越した編曲の才能があります。
星野源の編曲の最大の特徴は、楽曲ごとに一貫したコンセプトを持ち、それを実現するためにサウンドを徹底的にデザインする点です。彼は自身のルーツであるブラックミュージックの要素をJ-POPに昇華させ、「YELLOW DANCER」といったアルバムでは、日本人ならではのダンスミュージックを見事に作り上げました。
演奏者の選定にも及ぶこだわり
彼の編曲へのこだわりは、単に机上で音を組み立てるだけにとどまりません。楽曲のイメージに合うサウンドを追求するため、自ら演奏家を探し出し、直接オファーすることでも知られています。例えば、ベーシストのハマ・オカモトを、彼がまだ無名に近い頃からその才能を見出し起用したエピソードは有名です。こうした人選も含めて、彼の編曲は完成します。
インストバンド「SAKEROCK」での下積み
星野源の編曲能力の基盤には、彼がリーダーを務めていたインストゥルメンタルバンド「SAKEROCK」での経験があります。歌のない、楽器の音だけで音楽を成立させるバンド活動を通じて、各楽器の役割や効果的な組み合わせ方、サウンドの構築方法を実践的に学んでいきました。この下積み時代が、現在の彼の緻密な編曲能力を育んだと言えるでしょう。
このように、自身の音楽的ビジョンを明確に持ち、それを実現するための知識、技術、そして情熱を兼ね備えているからこそ、星野源の音楽は多くの人を惹きつけてやまないのです。
Mrs. GREEN APPLEの編曲スタイル
現代のJ-POPシーンを代表するバンド、Mrs. GREEN APPLEもまた、編曲において非常に高い評価を受けているアーティストです。彼らの楽曲のほとんどは、ボーカルの大森元貴が作詞・作曲・編曲を手掛けています。
Mrs. GREEN APPLEの編曲スタイルの特徴は、「J-POPの枠に収まらない多彩で壮大なサウンドスケープ」です。一般的なバンドサウンドに加え、ストリングス(弦楽器)、ブラス(管楽器)、キーボード、さらには多彩な打ち込みのサウンドを幾重にも重ね合わせ、まるで映画音楽のような、ドラマティックで緻密な世界観を構築します。
ミセスの編曲に見られる特徴
- 多層的なサウンド:非常に多くの楽器や音が同時に鳴っており、聴くたびに新しい発見がある複雑なアレンジ。
- 展開の豊かさ:一曲の中で目まぐるしく曲調やリズムが変化し、リスナーを飽きさせない構成力。
- ミュージカル的要素:祝祭感のある華やかなアレンジや、物語性を感じさせる壮大なオーケストレーション。
これらの複雑なアレンジを、ポップミュージックとして誰もが楽しめるキャッチーなメロディと両立させている点が、大森元貴の編曲家としての非凡な才能を示しています。楽曲の持つ感情やメッセージを、サウンド全体で表現しきる。この徹底したセルフプロデュース能力が、Mrs. GREEN APPLEを唯一無二の存在たらしめているのです。
編曲はいくらぐらいしますか?年収は?
編曲という仕事の経済的な側面、つまり編曲料や年収について気になる方も多いでしょう。これらは公にされている情報が少なく、一概には言えませんが、一般的な相場や仕組みは存在します。
編曲料の仕組みと相場
まず、編曲家への報酬は「印税」ではなく、1曲あたりの「買い切り」で支払われるのがほとんどです。これは、現在の著作権法では編曲家に印税(著作権使用料)を受け取る権利が基本的に認められていないためです。そのため、楽曲がどれだけヒットしても、編曲家に直接的な追加報酬が入ることは稀です。
1曲あたりの編曲料は、編曲家の実績や知名度、プロジェクトの予算、作業の複雑さによって大きく変動します。
- 若手・新人:数万円〜10万円程度
- 中堅クラス:15万円〜30万円程度
- トップクラスの著名な編曲家:50万円以上、場合によっては100万円を超えることも
これらはあくまで目安であり、契約内容によって様々です。
編曲家の年収について
編曲家の年収も、個人の活動状況によって天と地ほどの差があります。コンスタントに仕事を受注できる売れっ子であれば、年収1,000万円以上を稼ぐことも可能です。しかし、多くの編曲家はフリーランスとして活動しており、収入は不安定になりがちです。編曲だけで生計を立てるのは簡単ではなく、作曲や演奏、音楽講師など、他の仕事と兼業している人も少なくありません。
編曲は、音楽への深い愛情と専門的なスキルが求められる一方で、経済的には必ずしも安定しているとは言えない、厳しい世界でもあるのです。
さらに深く知る編曲までやるアーティスト
- 編曲は作曲で生まれたメロディに肉付けし楽曲を完成させる作業
- 作曲は楽曲の核となるメロディとコード進行を生み出すこと
- 作曲と編曲では求められるスキルや大変さの種類が全く異なる
- 作編曲を同じ人が行う最大のメリットはアーティストの意図を100%反映できること
- アーティストの世界観が統一されオリジナリティの高い楽曲が生まれる
- 多くのアーティストは専門家と分業するために編曲を外部に依頼する
- 作詞作曲をする人は一般的にシンガーソングライターと呼ばれる
- 作詞作曲編曲を一人でこなすには感性と論理的思考の両方が高いレベルで必要
- 星野源は自身の音楽的ルーツをJ-POPに昇華させる編曲の才能を持つ
- 彼は演奏者の人選まで含めてサウンドをデザインする
- Mrs. GREEN APPLEの編曲は壮大で多層的なサウンドが特徴
- ボーカルの大森元貴が手掛けることで独自の世界観を構築している
- 編曲料は印税ではなく1曲ごとの買い切りが基本
- 編曲家の年収は実力や実績により大きく異なり不安定な場合も多い
- 編曲まで手掛けるアーティストの音楽は純度の高い自己表現そのものである



コメント